旧校舎のトイレ

こんな所でこの話をしていいものなのか俺にも分かりません。

ただこれを聞いた人がそういう境遇に陥らない事を願いたい

だけなのです。

俺には小学校の時遊び仲間で鈴木と言う奴がいました。

かなりヤンチャで俺たちはいつも先生に怒られるような事

ばかりしていました。

例えば誰もいない体育館の真ん中に猫の糞を置いたり。

女子トイレにいたずら書きをしたり。

そんな俺らでしたが鈴木が昼休みの終わり頃、腹が痛いと

言い出しました。

俺は早くトイレに行って来いと言ったのですが、みんなが出入りする

トイレで大便はできないと言うのです。

多分みんなにバカにされるのが嫌だったのでしょう。

もう昼休みの時間が終わるから誰も来ないと思うけど取り敢えず

誰か来たら嫌なので向こうの旧校舎のトイレに走りました。

その旧校舎のトイレは誰も近寄らないくらい気味の悪い場所で

小便は壁そのものにおしっこをするような作りで大便の方は

木のドアで出来た古めかしいボットン便所だったのです。

当然、電灯もありません。

あいつ勇気あるなぁ

俺には当時それぐらいにしか感じなかった出来事だったのです。

彼と久しぶりに再開したのは2ヶ月前の同窓会あの明るかった鈴木が

まるで別人のように暗い、何かあると思った俺は悩み事を聞いて

やろうと話しかけた。

「仕事はストレスが溜まるだろうし不景気だから、話せば少し楽になる

悩み聞くから話てみろ。」

「女の子の事か・・・・。」

俺は笑いながら話しかけた。

鈴木はポツリと話し始めた

「俺ら小学校の時ずっと一緒だっただろ。俺が旧校舎のトイレに行った事覚
えているか?」

鈴木は言った。

「当たり前やんあんな怖いところ、俺は一人じゃ行けないよ。」

「誰にも話してないんだけど、あの時扉が全部閉まってて・・・・・」

「全部閉まってるのも、おかしいなと思ったけど。1番奥のトイレだけ空いてたので我慢してたせいもあって急いで入ったんだ。」

俺はなぜか聞いてはいけないもの聞いているような感覚に陥りました。

鈴木は話し続けた。

トイレの話が怪談めいているのが気になりましたがそのまま黙って

聞いていました。

「ボットン便所の下を見るとな、底の方で小さく自分の顔が灯りに
照らされて写ってるんだ。それがな・・・・」

鈴木はゆっくりとこっちを向き俺の顔を覗き込んだ。

「トイレの底に映ってた顔がいきなり暗くなって消えたんだ」

写った顔が消えるなんて流石に俺は恐怖で鳥肌が立ち

底知れぬ恐怖が襲った。

それで俺は周りを見渡した。なんか段々俺の指先に力が入らなくな

って来た。

これ以上聞かない方がいいのかもしれない。

「周りを見渡すと窓がありよく見ると俺の事をまるで恨めしそうに
じっと見ている男の顔がそこにあったんだ。」

「手には赤く染まった包丁の様な物を持っていた。」

鈴木の顔が青ざめていくのが分かる。俺はただ無言で

鈴木の話を聞いていた。

「そしてその男は俺に言ったんだ。なんだ男か・・・・・。」

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